遊漁船に乗るとき、ライフジャケットは「浮くものなら何でもいい」わけではありません。小型船舶では乗船者の着用が義務づけられ、求められるのは国が安全基準への適合を確認した「桜マーク」付きのものです。この記事では、船釣りのライフジャケットの選び方を、桜マークとタイプ区分という「法令側の条件」から整理します。形の話の前に、その一着が船で使えるかを自分で判定できるようになるのが目標です。
ブルーストーム モーゲットウエスト2.0 BSJ-9330RS2.0
落水で自動膨脹し手動でも作動する腰巻き(ベルト式)タイプ。上半身が自由になり竿さばきを妨げません。船の条件を問わないタイプAです。
船釣りのライフジャケットの選び方は「桜マーク」から始まる
桜マークは、国土交通省が試験を行って安全基準への適合を確認したライフジャケットに付く印です。ラベルには桜の意匠とタイプ区分が表示されます。
基準には、水中で浮き上がる力が7.5kg以上あること、顔を水面上に維持できることなどが定められています。この「顔を水面上に維持できる」が、ただ浮くだけの浮力材入りウェアとの決定的な違いです。脱力した状態でも顔が水につからない姿勢を保てるか、というところまで見られています。
違反したときに罰を受けるのは船長
船舶職員及び小型船舶操縦者法により、小型船舶に乗船する場合はライフジャケットの着用義務があります。小型船舶とは、総トン数20トン未満の船舶および船体長さ24メートル未満のプレジャーボートです。平成30年2月から、すべての乗船者が対象になりました。
着用させなかった場合は遵守事項違反として違反点数2点が付され、再教育講習を受講しなければなりません。累積して行政処分基準に達すると、最大で6か月の免許停止です。ここで点数が付くのは船長で、桜マークのない一着で乗ろうとすると責任を負うのは船を出す側になります。船宿が乗船前に装備を確認するのは、この仕組みがあるからです。
「浮くだけ」と「顔を水面上に保てる」はぜんぜん違うんだ。桜マークは、そこまで確認された印なんだよ。
タイプA・D・F・Gの違い|遊漁船ならタイプAが基本になる理由
桜マーク付きのライフジャケットには、タイプA・D・F・Gという区分があり、それぞれ使える範囲が決まっています。
| タイプ | 使用できる範囲 |
|---|---|
| A | すべての小型船舶。法定備品として搭載できるオールマイティーな区分 |
| D | 旅客定員が12名を超えない船舶で、航行区域が限定沿海区域・沿岸区域または平水区域の場合 |
| F | 不沈性能・緊急エンジン停止スイッチ・音響信号器具(笛、ホーン等)を有し、航行区域が限定沿海区域・沿岸区域または平水区域の場合 |
| G | 上記の装備を有し、航行区域が平水区域の場合 |
気づいてほしいのは、D・F・Gの条件がすべて「船の側の条件」だという点です。旅客定員が何名か、航行区域はどこまでか、緊急エンジン停止スイッチが付いているか——どれも乗る側の釣り人には確認しようがありません。
一方でタイプAは、すべての小型船舶に法定備品として搭載できるオールマイティーな区分です。船の条件を調べなくても着用要件を満たすので、船釣り用に一着買うならこれが現実的です。D・F・Gが劣っているわけではなく、条件確認の負担を釣り人側に残さないという理由でAが選ばれます。堤防やおかっぱりにもそのまま使えます。
桜マークの確認方法|買う前と、乗る当日に見るところ
購入前|商品ページで見る3点
- 「国土交通省型式承認品」「桜マーク」「タイプA」の3つが揃っているか。「フローティングベスト」「浮力材入り」とだけあるものは型式承認品とは限りません
- 型式承認番号の記載があるか
- 海外規格だけの表記になっていないか。CEやUSCGは日本の型式承認とは別の制度です
手元に届いてから・乗船当日
- 本体のラベルに桜の意匠とタイプ区分の表示があるか
- 呼笛(ホイッスル)と反射材が付いているか。型式承認品には、海で発見されやすい色・反射材・呼笛が求められます
- 膨張式ならボンベが緩んでいないか、点検インジケーターが正常な色を示しているか
中古や譲り受けた古い一着は、桜マーク付きでもボンベが期限切れというケースが珍しくありません。マークがあることと、いま作動することは別の話です。
膨張式と固形式|船釣りでの使い分けと点検
膨張式(サスペンダー・ウエスト)
軽くて動きやすく、夏でも暑くなりにくいのが膨張式です。肩から掛けるサスペンダータイプと、腰に巻くウエストタイプがあり、船釣りでは腰に巻くウエスト(腰巻き)タイプが扱いやすい。上半身が完全にフリーになるぶん、竿を持つ動作や船べりでの前傾姿勢を邪魔しにくいのが理由です。
注意したいのは、自動膨張式が水を感知して作動する点です。波を大量にかぶる状況では意図しないタイミングで膨らむこともあります。ボンベとカートリッジには交換の目安があり、点検が前提の装備でもあります。
参考までに、記事中で触れた代表的なモデルを挙げておきます(最新の仕様・価格は販売ページでご確認ください)。
ブルーストーム モーゲットウエスト2.0 BSJ-9330RS2.0
ボンベとカートリッジが交換式で、メーカーが定期交換を前提に案内しているモデルです。
BASARO(バサロ)のB-Lifejack-XH01は、型式承認タイプAの腰巻き(ベルト式)タイプ。自動膨張式で、落水時は水を感知して膨脹するほか手動索でも作動します。本体重量は約545gです。
固形式(浮力材入りベスト)
浮力材が入ったベスト型は、作動する部品がないぶん点検の手間が少なく、ボンベ交換も要りません。冬場は防寒を兼ねられる反面かさばるので、夏場の船上では暑さがネックです。年に数回しか船に乗らないなら、手入れが前提の膨張式より確実なこともあります。
腰巻きタイプのモデル選びをさらに詳しく知りたい方は釣りの腰巻きライフジャケットおすすめの選び方で扱っています。
子どもと同乗者の分|小児用は体重で区分が分かれる
大人用を子どもに着せても、体が抜けてしまえば意味がありません。小児用の救命胴衣は、体重40kg以上、15kg以上40kg未満、15kg未満という3種類に分類されています。身長や年齢ではなく体重で区分されるので、購入時はここを合わせます。

ブルーストーム ヒューペ BSJ-212Y
高階救命器具のヒューペ BSJ-212Yは、型式承認タイプAの固型式(浮力材入り)ベストで、身長120〜150cm・体重25kg以上40kg未満の小児用です。初期浮力は約6.8kg、作動部品がないぶん扱いやすいタイプです。
遊漁船には備え付けのライフジャケットもありますが、子どもの体格に合うサイズが必ず用意されているとは限りません。家族で乗るなら事前に船宿へ確認するか、体格に合う一着を用意しておくほうが確実です。
磯渡しは扱いが違う
渡船で磯に上がる場合は扱いが変わります。磯等渡しでは、型式承認品(桜マーク付)に代えて、浮力を有する釣り専用の安全装具で代替できるとされています。磯釣りでフローティングベストが一般的なのはこのためです。ただしこれは磯渡しの話で、船釣りとは条件が異なります。同じ装備で遊漁船に乗ると要件を外すことがあるので、分けて覚えておくと混乱しません。
釣具専門の品揃えからシリーズを横断して比較したい方は、こちらも参考にしてください。
▶ アウトドアとフィッシングの専門店【ナチュラム 】
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小児用は身長や年齢じゃなくて体重で分かれてるよ。ここを合わせないと、体が抜けちゃって意味がなくなるんだ。
まとめ|順番を決めれば迷わない
順番さえ決めれば難しくありません。
- 桜マーク(国土交通省型式承認)があるか
- タイプAか(D・F・Gは船側の条件次第なので、乗る側では判断しにくい)
- 膨張式か固形式か、サスペンダーかウエストかを使い方で選ぶ
- 子どもや同乗者の分は体重区分で合わせる
- 膨張式ならボンベ・カートリッジの期限を管理する
デザインから入ると、いざ乗船というときに「これでは乗れません」となりかねません。まず1と2で候補を絞り、そのあとで着け心地を比べる。船釣り自体が初めてなら瀬戸内の船釣りで初心者は何が釣れる?もどうぞ。




